こんにちは!現役歯科医師のTKです!
本日は前回の続きで、多くの方が歯科医院に行き虫歯の治療をした際に、虫歯を除去した後、保険の詰め物と自費の詰め物の選択を迫られる経験したことがあるのではないでしょうか。
ここで皆さんが思うのは、
“セラミックスにしたいけど、高いなあ“
“歯一本に数万円もかけたくないなあ“
“銀歯とセラミックスでそんなに変わるのかな?“
“別に見た目なんて気にしないし、安い銀歯でいいや“
まだまだ他にも意見はありそうですが、患者さんと話していて上記の意見が多いように感じます、実際私の意見を言わせていただくと、歯科医師で保険の銀歯を入れたい人は絶対にいないと思うし、銀歯を口腔内に入れてる人はいないのではないかなと思います。(入れている先生がいましたらすみません)少なくとも私は絶対に入れません。
なぜ歯医者が自分には銀歯を入れないか?
それは歯医者がお金があるからであるとか、自費診療の方が儲かるからとか、そういうことではなく、しっかりとした明確な理由があり、それは歯医者は知っているからです。
本当は患者さんにも銀歯を入れたくないけど、保険導入されている以上金銭面で仕方ないことも多いし、説得をあまりにしつこくしても患者さんに嫌がられるしで、葛藤がありながらも、銀歯の装着を日々しています。
ではそれがなぜかを長くなりますが、これから細かく、分野ごとに分けて説明していこうと思います。歯医者の本音の忖度なしの情報を提供できればなと思います。
絶対に銀歯をやめた方がいい理由 3つ
①詰め物や被せ物が外れやすく、再治療になる可能性が高まる。
それはなぜか解説していきます。
- 接着剤(セメント)の質が違うことが多い。
- 型取り(印象)の材料が大きく違う
- 術者が保険診療より丁寧に時間をかけて、丁寧に処置をする
- (セラミックの場合)割れやすい材質のため、深めに歯を削る必要があるためはずれにくい→これはデメリットでもある
なぜ外れやすいかを一概に言うのは難しいですが、ゴールドをのぞいて金属は基本的に保険治療で行います、保険治療は単価が安いため接着能力が劣るセメントしか使用できませんので、外れることが多いです。外れるだけならまだいいですが、外れずに適合が悪く隙間ができるとそこが虫歯になるリスクもあります。
逆に自由診療であれば、良いセメント(より強固に接着するセメント)を使用し強固に接着することが多いです。セラミックだと、セラミックと歯を一体化してしまうようなイメージです。自費と保険でセメントを使い分けている医院は多いです。
それと型取り(印象)ですが、これは医院にもよりますが、自費診療の詰め物、被せ物は保険診療でよく使用される、アルジネートという材料でなく、シリコーン印象材と言うものを使用します。
その2つ何が違うかというと、型取りをした後にアルジネートは変形を起こしやすいのですが、シリコーンはほとんど変形しません。なので完成してくる修復物の精度も良くなり、適合の良い詰め物、被せ物ができてきます。
セラミックだけでなく、自費治療は保証付きのものが多いため、保険治療よりも丁寧に時間をかけてやることが多いです(保険治療の手を抜いてるわけではありませんが)これは仕方ありませんよね、値段が10倍も違えばかける労力も当然変わってきます。保証が付いているため保証期間内のトラブルは医院の負担になるため。
私は現在勤務医なので、尚更保険治療に時間をかけることは医院の経営上難しいです。
しかし自費診療であれば、こだわってじっくり時間をかけ治療しても何か言われることはありませんのでその分クオリティを上げることができます。
②歯肉が黒ずんでくる
これはメタルタトゥーといいます。
金属成分が口腔内に溶出し歯肉に金属色がついてしまうことを言います。
③金属アレルギーを引き起こしやすくなり、最悪の場合癌になる!?
金属は口腔内でイオン化し、アレルゲン物質として体内に蓄積されます。すぐに金属アレルギーを発症するわけではありませんが、年月が経ちアレルギー症状が突然発現する可能性があります。
金属が口腔内に溶出しているということは、口腔粘膜疾患にも陥りやすくなります。代表的なもので言うと
- アフタ性口内炎
- 口腔扁平苔癬
- 白板症
- 掌蹠膿疱症
などが挙げられます。あまり聞き覚えがない病気かもしれませんが、白板症や扁平苔癬は前癌病変と言われ、癌化するリスクがあると言われています。
私自身も公立病院にいた経験があり、口腔癌の患者さんをたくさん見ましたが、治療、手術は壮絶でした。癌化するリスクはできるだけ避けたほうがいいと思います。
掌蹠膿疱症はウミが溜まった膿疱と呼ばれる皮疹が手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多くみられる病気で、周期的に良くなったり、悪化したりを繰り返す皮膚疾患で、原因は様々考えられますが、口腔内の金属が原因だったり、口腔内の歯周病が原因なこともあるようです。